2006年06月22日

夏至見舞状(平成18年6月21日・折句13)

夏至見舞状(平成18年6月21日・折句13)

夏至の候お見舞い申し上げます。前回の芒種(六月六日)の候が過ぎ、はや夏至の季節を迎えました。

 返信1(宿谷先生、芒種見舞い状拝受致しました。いつも有り難うございます。また、今回も私の文章を引いてくださり、恐れ入ります。今日は授業前に黒板の向かって右端に「六月六日(五月十一日)芒種」と記しました。黄経75度が芒種ですが、もうすぐ黄経80度の雑節「入梅」でございますね。毎年勤務校ではなぜかこの梅雨の季節に球技大会があります。今年は明日ですが、どうやら晴れそうでほっといたしております。昨日から担当している教育実習生2人が授業を始めました。1人は同志社の文学部国文学科、もう1人は京大の教育学部のどちらも4回生です。何れも同志社高校の出身ですが、なかなかよくやってくれています。四半世紀前の自分の実習などひどい物でした。現在私は国語科の教員ですが、学部時代は法学部に在籍しておりましたので実習は中学の社会科で公民を担当させて頂きました。日本の戦後処理とGHQの進駐などを浅はかな知識でしゃべったのを恥ずかしく思い出します。ホームルーム中に席替えのトラブルから2人の女の子が泣き出して教室を飛び出し、あわてて追いかけたのも苦い思い出です。その女の子も今や37、8歳になっていると思うと、月並みな言葉ながら月日の経つのは本当に早いと感じざるを得ません。次の二十四節気は夏至ですね。いよいよ雨期に入りますが、先生のご健康をお祈り致します。)

 返信2(「芒種見舞状」ありがとうございました。いつもながら、先生の視点、また英訳つきの長歌の数々、大変に勉強になります。とりわけ、短歌、俳句は、人の見る目を養ってくれることを、改めて考えさせてくださいます。)

 五月二十六日(金)〜三〇日(火)、高校二年生の九州縦断の修学旅行の引率をしてまいりました。第一日目は太宰府天満宮と吉野ヶ里を見学いたしました。福岡空港に降り立った時には小雨が降っておりましたが、吉野ヶ里は傘も差さずに見学が出来ました。生徒の引率で吉野ヶ里を訪れたのはかれこれ十回を超えると思いますが、以前は何も無かった所に、古代の村落らしさを装った建物が立ち並び、何となく古代の遺跡を連想出来るように仕立ててあるのに驚きました。

二十七日(土)二日目、平和公園で写真を撮って、原爆資料館を見学すると自主見学となりました。私は同僚の佐藤多喜男先生と一緒に午前中は出島の見学に行きました。この三月から大きく復元されたとのことで興味を持って行ってみると前回三年前に比べて大きく復元されておりました。特に、長崎に纏わる芝居が上演されているのには驚きました。昼食には中華街へ行きました。多くの生徒に出会いました。長崎ならではのチャンポン麺と焼飯をたのんで二人で取皿にとって食べました。昼食後は再び出島でもう一つの芝居を見ました。芝居が終わると雨が激しく降ってきました。シーボルト舘や佐藤多喜男先生が現在学んでおられるラテン語が刻まれているという二十六聖人記念館も計画に入れておりましたが、その目的も果たさずに、本部がおかれているオランダ物産館へと戻りました。一時間ほど休憩している内に、集合時間の四時になってしまいました。この日の宿は、雲仙の「新湯ホテル」という所に泊まりました。ホテルには珍しく社長(女将)自らが挨拶に出てまいりました。そこで、その女将・豊田悠躬子様のために即興の折句を詠んで差し上げました。

二十八日(日)三日目、この日の午前中は三つの自主見学コースに分かれて見学することになりました。私は佐藤先生と一緒に島原市内見学コースの引率担当となりました。島原城に到着して二時間余りを自主見学することになりました。我々二人は先ず、武家屋敷を見学しました。三分の一ぐらいの生徒が見学に訪れました。その後、足を温める市営の無料の温泉場に行ってみました。ここにも生徒が半数ほどは訪れていました。その後錦鯉が沢山いるという小川を見学して、集合場所の島原城に帰りました。午後は普賢岳災害記念館で中岳の噴火爆発体験をするなどして、船で熊本に渡りましたが、深い濃霧に包まれていた為、阿蘇火口には行けずに、この日は阿蘇プリンスホテルへと向かいました。

二十九日(月)四日目、午前中は「人吉クラフトパーク」という所で、陶芸やら竹細工等の手作業の工作をすることになりました。私は陶器に絵付けをすることにしました。即興で詠んであげた折句を素焼の茶碗に書き入れました。そこで、指導をして下さった三原真二様にも折句を詠んで差し上げました。ここで昼食をとって、午後からは球磨川の急流下りに行きました。生徒は全員ゴムボートで下るラフテイングに挑戦しました。日ごろ大人しくしている女の子が櫂を持ってボートを操り、大きな岩の上からダイビングにも挑戦しているのを見て感動を覚えました。私は定期便で動いている船に乗り込んで川を下りました。途中ゴムボートに乗った生徒達の勇敢な姿を写真に収めました。若い先生方は生徒と一緒にラフテイングに挑戦していましたが、水温の低さに体が震えるなど閉口していました。この日は最後の宿泊地・指宿へと向かいました。

三十日(火)、午前中は特攻隊が戦地に出て行ったという知覧の特攻平和記念館を見学しましたが、私は睡眠不足で具合の悪くなった生徒の看護のためにバスに残りました。昼食は最後の見学地となった仙厳園(島津斎彬の屋敷跡)で取って、三時には鹿児島空港へと向かいました。全体は二班に別れましたが、私は理系コースの生徒達を引率することになりました。この旅行中には担当した旅行会社の添乗員お二人(浅倉香織様・伊藤賢一様)を始め、五台のバスの運転手・車掌さん達全員とリクエストを戴いた二人の方々に折句を作りました。ご賞味下さい。

愛子内親王殿下のご生誕をお祝いして詠んだ折句が発端となって詠み始めた折句も、いよいよ、日本語では一〇〇〇人に達し、英語では百三十人を超えました。アメリカの友人で作家のボイエ・デイ・メンテ氏はかねてから私のこの詩作に注目してくれておりましたが、いよいよこれをアメリカで出版してあげましょうということになりました。度重なる詩歌のチェックの結果「英文折句百人一首」というタイトルで詩歌集の出版へと漕ぎ着けることが出来ました。デイ・メンテ氏には「日本化するアメリカ」という著書がありますが、氏との出会いはこの本が縁となりました。私は「英文折句百人一首」の中で氏を「三つの革命的事業を企画した先駆者」として紹介しております。その第一は、アメリカの小学生に英語俳句を作らせる最初の提案者としてです。小学生に英語俳句を作らせることによって、短く制限された文章の中に、自己を最大限に表現する力を涵養するのに貢献したと思います。第二は、大統領賞を与える俳句・短歌のコンテストの最初の提案者としてです。そして、第三は、英国詩人・ジェイムズ・カーカップ氏が「短歌ロステイック」と命名した英文短歌折句の最初の提案者となったことです。日本語の折句は勿論、日本語が元になりますが、日本語で考えて、それを英語に翻訳する習性のついた日本人の方の中で、「日本語を英訳したのですか」と聞いて来る方がたまたまおりますが、外国人の為に詠んだローマ字綴りの折句を日本語で考えて創作することなどほとんど不可能なことです。この本はアメリカの三大書籍ネットワークに紹介されております。アマゾンの洋書をクリックして、Mutsuo Shukuyaで検索すると本の表紙が出てきます。アマゾンに収録されているJapanese Poetryのコーナーには340ほどありますが、その内、第4位にランクされております。

六月十日(土)、藤原定家の法要・小倉山会に参拝し、次の歌を手向けて参り
ました。暑さの募る毎日、ご自愛のほどお祈り致します。宿谷睦夫

我か庭の/籬に咲くや/橘の /転寝の床に/香り寄せ来る

Are those sweet blossoms,/
the mandarin oranges/
abloom, I wonder?
Their scent is fascinating;/
it wakes me up from my nap.

   平成十八年六月二十一日(火)旧暦皐月二十六日(夏至)

即興折句集(十三)by Mutsuo Shukuya

浅倉香織様 平成十八年五月二十九日(月)
あさとでに The cherry blossoms,
くらやみのなか which are abloom at their best
はなかをる on the morning of
かぜやおりしも a spring day, are going to
けふはちりゆく be scattered in the hard wind.
(朝戸出に/暗闇の中/花香る/風や折りしも/今日は散りゆく)

伊藤賢一様 平成十八年五月二十九日(月)
いとはるか The voice of warblers
うぐひすのこゑ can be heard on the first day
けだかくも of this early spring,
むらざととほく when I visit my hometown
いづるついたち after having walked so far.
(いと遥か/鶯の声/気高くも/村里遠く/出る一日)

豊田悠躬子様 平成十八年五月二十九日(月)
ゆみはりの I have been waiting
こよひのつきに for the geese which fly about
とぶかりの above in the sky
よびかふこゑに bringing their good messages
たよりまちわぶ under the brilliant half moon.
(弓張の/今宵の月に/飛ふ雁の/呼ひ交ふ声の/便り待ち佗ふ)

三原真二様 平成十八年五月三十日(火)
みあぐれば    As the snow is now
はらはらとふる falling and falling so hard,
しらゆきに the mountain top of
むかふははるか Fuji can be dimly seen,
しらむふじのね when I look towards it today.
(見上くれは/はらはらと降る/白雪に/向かふは遥か/白む富士の嶺)

岡部忠夫様(一号車) 平成十八年五月二十九日(月)
おかのくも    When I look upward,
へだててはるか I find a crane calling out
たかきそら far in the distance
たづなくむれや high above in the blue sky
おがみまつらむ over the clouds on the hill.
(岡の雲/隔てて遥か/高き空/田鶴鳴き群や/拝み奉らむ)

東島圭子様(一号車) 平成十八年五月二十九日(月)
ひがしはるか   I find the white moon,
しろがねのつき  which I have looked forward to
まちわびし    seeing in the east,
けふくまかはに  as I stand now by the stream,
いこひながめむ  Kumakawa in Kyushu.
(東遥か/白金の月/待ち侘ひし/今日球磨川に/憩ひ眺めむ)

梅野英幸様(二号車) 平成十八年五月二十六日(金)
うめのつぼみ   I find the warblers
ひらけばあさひ  singing their beautiful songs
てりはえて    upon the twigs of
ゆきふるえだに  the plum trees whose blossoms
きこゆうぐひす  are flowering like the snow.
(梅の蕾/開けは朝日/照り映えて/雪降る枝に/聞こゆ鶯)

山之内絵美様(二号車) 平成十八年五月二十六日(金)
やまのうへに   When I look upward,
のぼるもちづき  the beautiful gold full moon
うちみれば    can be clearly seen
えをもいはれぬ  high above in the dark sky
みすがたぞみむ  over the tops of mountains.
(山の上に/昇る望月/打ち見れは/えをも言はれぬ/御姿そ見む)

(平成十八年五月高校二年・修学旅行にて詠める折句)

坂口顕様(三号車) 平成十八年五月二十九日(月)
さくらじま    Sakura mountain,
かごしまのくに  which stands in Kagoshima,
くまかはの    can be dimly seen
ちかくながむや  when I look up on my way
けむるしまかげ  from Kumagawa River.
(桜島/鹿児島の国/球磨川の/近く眺むや/煙る島影)

福田真弓様(三号車) 平成十八年五月二十九日(月)
ふじのみね    When I descend to
くだるとうげに a pass below Mt. Fuji,
まつみえて where the pine trees stand,
ゆめにうつつに the figure of the island
みゆるしまかげ looks like the one in my dream.
(富士の嶺/下る峠に/松見えて/夢に現に/見ゆる島影)

山本和博様(四号車) 平成十八年五月二十九日(月)
やまべにも   The voice of warblers
もどかしくもや  rings out unsteadily but
かをるうめに   so comfortably
すずやかなこゑ  from the branches whose blossoms
ひびくこのごろ  are flowering at their best.
(山辺にも/もどかしくもや/香る梅に/涼やかな声/響く此の頃)

牧山夏美様(四号車) 平成十八年五月二十九日(月)
まきしげる When I look upward
やまべにたちて standing around the foot of
ながむれば the mountain, on which
つきかげはるか many Japanese yews stand,
みゆるゆふぐれ the moon shines out this evening.
(槙茂る/山辺に立ちて/眺むれは/月影遥か/見ゆる夕暮)

平野滋様(五号車) 平成十八年五月二十八日(日)
ひらひらと Under the bright moon,
のべまふはなに which shines in the clear blue sky,
しろがねの the cherry petals
けふてるつきの are scattered as if the snow
るりいろのかげ were falling over the plain.
(ひらひらと/野辺舞ふ花に/白金の/今日照る月の/瑠璃色の影)

川原まりこ様(五号車) 平成十八年五月二十八日(日)
かはながる    The light of the moon
はらにむれおふ  filters through the pine branches
まつのきに    nodding in the breeze
りょうしゅうのかぜin the plain, where the stream runs,
このつきのよひ  on a cool autumn evening.
(川流る/原に群れ生ふ/松の木に/涼秋の風/この月の宵)

福田美智子様(車掌さんのご母堂) 平成十八年五月三十日(火)
みあぐれば When I look upward
ちよろづのとりの at the meadow in the breeze,
こゑはして I find the skylarks
ふくかぜすずし calling out to each other
たそがれののべ high above in the blue sky.
(見上れは/千万の鳥の/声はして/吹く風涼し/黄昏の野辺)

梅野明子様(運転手の奥方) 平成十八年五月三十日(火)
うめのはな    When I look toward
のべふくかぜに  the branches of the plum trees,
あふぎみれば   the voice of warblers
ききまちわびし  can be just heard among them
こゑはのどけき  as if I were in a dream.
(梅の花/野辺吹く風に/仰き見れは/聴き待ち侘びし/声は長閑けき)

posted by 英文短歌 at 11:20| Comment(1) | TrackBack(2) | 歌便り〜折句〜 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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